音楽を身近に 青木タイセイ その日色々

トロンボーン 鍵盤ハモニカ奏者 青木タイセイのブログ

self report: Brasstics Live at MBY

おかげさまで、なかなか、いい感じのライブになったと思う、Brasstics Live at MBY

間と要領をえない私のMCのせいもあり、曲名、曲解説はほとんど理解してもらえなかったかと思われ、ここに改めて書いてみた。

それに「横浜はやっぱり遠い」という方々のために近々、東京でのライブにこられる方の前知識として、ここに書いてみました。

1st set

■Let's Cool One
Brassticsのレパートリーで最も多くの比重を占めるT.Monkの作品。
私がMonkの作品を取り上げる理由は、どんなアレンジを施しても、決して曲の存在感が薄くならないこと。えてして、「jazz」を深く知っていないと、その曲が演奏者を受け入れてくれないような気がする曲もあると思う。しかし、Monkの曲はどんなアレンジでも、どんなジャンルの音楽家でも受け入れてくれるような気がしているのです。私は。
この曲は、初顔合わせセッションなんかでも私がよく持っていく曲で、Brassticsの為に最初にアレンジした曲でもあります。シンプルなアレンジが私自身もたいそう気に入っていて、毎回1stセットの最初に演奏することが多いです。残念ながら、この曲にかんする、Monk自身のエピソードを私は見つけられていません。
史郎さんの音を埋め尽くさない、adlib、トロンボーン2本だけのadlib,
そしてはブラスのリフに上のった芳垣さんのドラムソロでエンディングがキマリます。

■Overture
昨年の春、宮本亜門さんの演出で、音楽劇「三文オペラ」の音楽に携わることができました。そこで、クルト・ワイルの音楽の魅力に取り付かれたわけですが。。。その「三文オペラ」の最初の曲、つまり序曲ですね。亜門さんの演出、バンマス内橋さんのアレンジでは、ちょっと聞き取りにくいくらいの小さめの音量の開演のアナウンスに観客のみなさんの耳が向いているところ、間髪入れず、とてつもない大音量でいきなりガツンと始まっていたわけで、かなりのお客さんが驚愕していたそうです。そのあまりにも唐突な「大音量」に。
原曲はわたしなりに思うドイツゲルマン的な感じ、重厚硬質悲劇的な、じつに重々しい至ってクラシカルな曲なんですが、「ラテン」にしてしまいした。でも、けっして軽やかにはなっていないと思いますよ。
Brassricsでの初演(昨年の9月)では、原曲どおりのエンディングが、序曲ゆえ、曲が大げさな割にあまりにもあっさりおわってしまうので、お客さんが『あれ?もうおわり?」とかんじてる空気がアリアリ。で今回、MBYでは新規にendingを付け加えました。結構いけてたんちゃうかなぁ。


■Morning Choral
音楽劇「三文オペラ」のなかで2番目の主役の乞食商会社長が歌う、世を哀れんだ歌です。亜門さんの演出、バンマス内橋さんのアレンジでは、オルガンの通奏低音のうえに鉄琴で高良さんがメロディを、デーモン閣下が歌とも唸りつぶやきともとれる歌唱、という作風になっていたわけですが、Brassticsでは原曲のオルガンと歌のduoのアレンジを忠実に再現する部分をたくさん取り入れました。tubaのギデオンさんのフリーインプロヴィゼーションにつづき、ギデオンさんの確かなテクニックがあってこそ、書くことができた、通常のオクターブ上の音域での美しいメロディ、それにつづく、史郎さん、中野さん、堂本さんの三人による、至高のChoralアンサンブル。ステージ上でいつもわたくし、感動しております。

■海賊ジェニー
これも三文オペラから。劇中でヒロイン(ナッチ)が出刃包丁を振り回して歌う「皆のものやっちまえ」的な歌詞の歌。クルト・ワイルの原曲では、どうにも解釈に困る妙なハーモニーが随所にあるのですが、ここは思いきってシンプルなハーモニーにしてしまい、レゲエ風のリズムにしてみました。ハーモニーは多少シンプルにしましたが原曲のもつ「うすら怪しい感じ」は生きているとおもいます。唯一、わたしのクルト・ワイルアレンジのなかで、長めのadlib solo tradeがある曲。私が変なメロディ、史郎さんがキレイなメロディ、やってます。

■大砲ソング
これも「三文オペラ」から。結構有名な曲だそうですが、私は音楽劇に携わるまでは知らなかった。
歌詞のおおまかな内容はイギリス植民地時代でのインドでの反乱制圧など、戦争におもむく、兵士の士気を歌ったような歌詞ですが。亜門さんの演出では、戦地での男だけの世界のあやしい空気が。。。。原曲に忠実なアレンジです。
「speak low」など私が知ってるクルトワイルの曲ははっきりしたジャズの要素がみられるのですが、この曲ををはじめ、ほかの曲の多くは、わたしが初めて遭遇する、「コードネームにしにくい」ハーモニーがいたるところに。曲はいかにもブラスバンド的、ドイツビールがうまいみたいな感じ?

■Kurt Weill Love Songs
これももちろん「三文オペラ』から。三上博史さん演じる主役の悪行極まりないメッキーメッサーが、数々の恋人と歌うLove songをメドレーにしました。美しいメロディと退廃的なメロディ、男女のいろんな陰陽をよくあらわしてるかぁ?
わりと原曲に忠実なアレンジです。

■Moritato
マックザナイフというタイトルでも有名なジャズのスタンダード。あの、米良さんが、「もののけ●●」の方とは思えない、かなり「rock」な感じで歌ったはりました。明るい脳天気なメロディの割には、歌詞の内容は、主役メッキーメッサー(マック)が手を下した、殺人、詐欺、窃盗、女泣かせ、その他悪行をえんえんと。。
三文オペラ音楽監督内橋一久さんが新たにつけた、とてもすてきなコード進行。このなんか、英国ロックみたいな感じがわたしは好きで、Brassticsにも取り入れさせてもらい、この曲を紹介するときは、「Moritato内橋ver.」と紹介してます。「くたびれ儲けの歌」というこれまた、「世の中どうせこんなもの」的な歌詞の楽しい曲とメドレーです。

ここまで、「クルトワイルもの」はadlib soloとかがほとんどなくクルトワイルの作品をこんな感じにしてみました的な。
みなさんの美しい音色を存分に堪能できます。

そして1stセットの最後は
アントニオ・カルロス・ジョビンのご存じ、「one note samba」
この曲は、ボサノバとして大変有名なのはみなさんもご存じかと。
むかし、ギタートリオ編成の私のバンドでベースを私が弾いてピットインの昼の部に出てた頃、こともあろうにあの芳垣さんにドラムをお願いして、この曲をやってたときのアレンジです。名前を忘れましたが、有名なロックバンドがこの曲をカバーしてたのと似たアレンジで「rock?」みたいなボサ。

いやぁ、結構な長文になってしまった。

2nd setはお楽しみ、ってことにしようかな?長いですよねさすがに。

では、おおまかな雰囲気を。

2ndsetは1st setより、メンバーの長いadlibソロもあって、Monk色は一段と高いです。それに私のオリジナル曲も。

2nd setはだいたいこんな感じ
堂本雅樹さんのバストロンボーンにしてもかなりな、超低音からバストロンボーンでは考えられない超高音まで、縦横無尽に駆使した信じがたい演奏、
美しい音色を武器にジャズの語法を超えた中野勇介氏。
さっきも書きましたが、音を埋め尽くさない、おもわず、口元がゆるむフレーズの宝庫、佐々木史郎さん.
そして、完全ソロで大いに魅せるチューバのギデオンジュークス。
そして、もう、説明不要のドラマー、芳垣安洋さん。ありとあらゆるスタイルのあの芳垣さんのドラムが一気に聴けました。2ndセット。Brassのサウンドを楽しめるのはもちろんですが、芳垣さんのドラムをかなり堪能できるセットだと思いますよBrasstics。

2月12日、今度はhome 、新宿ピットインで、Brassticsやります。(20:00start)

しかもトランペットにあの松島啓之さんを迎え、豪華6管編成で。

横浜まで遠くて来れなかったみなさん、是非!
もちろん、横浜にきていただいた方は、是非もう一度!

よろしくー!